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翻訳コラム09翻訳サービスと
情報漏洩セキュリティ


つい先日、ある翻訳会社の顧客資料がインターネット上に流出するという情報漏洩事故が毎日新聞などで報じられました。流出したのは官公庁の研修用資料で、特に機密情報が含まれてはおらず注意喚起ですんだようですが、その翻訳会社社員の不注意でサーバー上に保存されていた内部資料ファイルにパスワードを設定しなかったことが原因だったとか。

インターネットの普及は情報の往来を容易にしましたが、それは普通に検索サイトや変換ソフト(IME)などを使用するだけでも情報漏洩の危険性がある時代になったことの裏返しでもあります。特に翻訳サービスを提供する私たちのような翻訳会社はお客様の重要な機密情報・個人情報を預かることが多く、ファイルの管理、情報漏洩に対する対策には細心の注意が必要になっています。例えば、今回のような人為的事故に限らず、特に悪意も過失もなく「検索エンジンで調べものをする」というだけでも情報漏洩のリスクがあるのです。

翻訳サービスでお客様からお預かりする情報はとりもなおさず「テキスト」であるわけですが、下調べのためにそのテキストの一部を検索エンジンにかけると当然そのテキストは検索エンジンのサーバーに送られて少なくとも数年間は保存されてしまいます。語彙レベルの検索ならば問題ないことが多いでしょうが、あやまって文単位で検索してしまった場合にはリスクがあります。

「Googleが情報を悪用する」とか「相当回数検索すればサジェストとして表示されてしまう」という、どちらかと言えば非現実的なリスクだけではありません。例えばある文章で検索を行なうと、もちろんその文に関連性のあるサイトがヒットしますが、これにアクセスするとかなりの確率でそのサイトの運営者がその検索フレーズを見ることができてしまいます。というのは、いまやほとんどの商業サイトで何らかのアナリティクスツール(Googleアナリティクス)などが使用されていますから、サイトにアクセスしたユーザーがどこから来たのか(リファラー)、どういうキーワードで検索してきたのかという情報はばっちり記録され運営者に提供されるのです。

さて、そのサイトが顧客の競合相手のサイトだったとしたらどうでしょうか。大したフレーズでなければいいですが、ある新製品のある新機能のある重要情報が含まれているフレーズだったとしたら? それは明らかに情報漏洩リスクとなるのです。現実にリスクが分かりやすいDropboxなどのクラウドストレージだけでなく、検索エンジンの利用にまで制限を課されるクライアント様も実際に存在していますので、これは単なる空想事ではないと言えるでしょう。

いかがでしょう。実際に検索エンジンの利用を制限するか否かは別として、こうしたリスクを認識すらしていない翻訳業者に重要な情報を含むドキュメントの翻訳を外注されることはお勧めできませんし、ぜひ小規模な翻訳会社であってもこうしたことを理解して翻訳サービスを提供している業者を選定していただきたいと切に思います。

さすがに検索エンジン利用禁止までのことは標準対応とはなりませんが、弊社を含め通常の翻訳会社はウイルスソフトの使用や作業PCのパスワードロック、登録翻訳者・チェッカーとのNDA締結など基本的な対策は行なっています。もちろん、普通の翻訳会社ならばパスワードロックもなく公開ストレージに資料を保存するなどということは絶対にありません。

なお、弊社ではお客様の利便性との兼ね合いもあり、メールでの添付ファイルのやり取りなどで必ずしも常にパスワードを設定するなどの処置を講じているわけではありませんが、ご希望がある場合は事前にご連絡いただくことで対応可能です。特に大手企業様など翻訳資料にパスワードロック必須のお客様もありますし、NDAや機密保持に関する覚書の締結、見積・翻訳完了後のファイル完全削除などお客様の機密性要件に応じて対応しておりますのでご安心ください。(2015/5)